- HSPは甘えなの?
- どうして甘えって言われるの?
- どうしたら甘えって言われずに済むかな?
今回は、こんな悩みにお答えします。
著者はHSP歴40年、10回以上の転職を経験した、元精神科ナースです。
- HPSはなぜ甘えと言われる8つの理由
- HSPは甘えと言われたときの4つの対処法
- 甘えと言われないためには?
HSPがゆえに、毎日苦しい想いをしている…
なのに、甘えだなんて言われてしまったら。
本当に辛いですよね。
しかし、甘えと言われてしまうには訳があるんです。
それでは、さっそくいってみましょう。
HSPは甘えと言われる8つの理由
HSPが甘えだと言われてしまう理由。
結論からいうと
打ち明けた相手に、あなたを助ける余裕がないからです。
もっというと、
あなたのために労力を割きたくないからです。
そんなのひどい!と思われるかもしれません。
しかし、この後にお話しする8つの理由を見ていただければ、
確かにそうかも…と納得して頂けるはずです。
今回は、会社の上司にHSPを相談したら
「そんなのは甘えだ!」
と言われてしまったケースを想定し、話を進めていきたいと思います。
HSPが甘えと言われてしまう8つの理由。
まとめると以下のようになります。
- 解決策を考えるのがめんどうだから
- 自分の努力を認めさせたいから
- 目に見えないから
- 誰でも当てはまると思われているから
- 新しい概念が怖いから
- 上司の上司がそういう価値観だから
- 少数派だから
- 自称HSPが増えているから
それでは順に解説していきますので、
あなたのHSPを「甘え」だといった上司、
または、いいそうな上司がいたら、
いくつ当てはまるか観察してみてください。
①解決策を考えるのがめんどうだから
相手が職場の上司なら、
「部下が何か、面倒なことをいってきたぞ…」
と、思われているかもしれません。
なぜなら、一個人の気質的なことに対して配慮したり、環境を作ったりすることにも、さまざまな労力がかかるからです。
「そんなの甘えだろ」と門前払いすることで、面倒を避けようとしているのです。
「なんですって!?」
「そういう部下の要望に対応するのも管理職の仕事じゃないの!?」
と言いたくなるかもしれません。
しかし、理想はその通りですが、現実の上司は部下と上司の板挟みにあっていたり、
家庭の問題も抱えていたりして、かなりキャパオーバーの状況にあり、あなたの悩みに答える余裕がない可能性もあります。
だからこそ、
解決策を考える労力をケチりたくなってしまうのです。
②自分の努力を認めさせたいから
これは、上司があなたの悩みより、自分の承認欲求を優先させるということです。
なぜなら、
上司であっても、年配者であっても、
十分な自信を持ち合わせていない人は、
多かれ少なかれ他人を落として自己肯定感を得ようとするからです。
たとえば、
悩みを打ち明けてきたあなたに対して、上司がこんな風に思っていることがあります。
「私の方ががんばっている」
「努力している。そして成果を出している」
「私の方が価値がある」
こんなふうに、辛い想いをやっとの思いで打ち明けてきたあなたにすら、
- 自分は優れている
- 価値がある
- 素晴らしい存在だ
と認めさせたい。
そのために、
あなたが苦しい想いをしていることに対しても、甘えだと決めつけ、
さらに「私のようにもっと努力しなさい」という無言の圧力をかける。
そうすることで、あなたの努力不足が原因である。
ということにしたいんですね。
あなたがわざわざ、自分の弱点や落ち度を教えてくれたので、
相手はその弱みに対して、ここぞとばかりに総攻撃をかけてくるわけです。
③目に見えないから
精神的な苦しみというものは、目に見えません。
HSPを相談した相手が、そのような「目に見えない苦しみ」を想像するだけの、想像力そのものを持ちあわせていないこともあります。
しかし、単に気持ちの余裕がなくなっているがために、あなたの悩みを共感する余裕も持てない。
というケースも考えられます。
ぼくはこれまで、
10カ所以上の職場を見てきましたが、待遇の良い職場だと、働くスタッフにも気持ちの余裕があり、
平均的に皆が優しくいられる印象があります。
余裕のない職場環境では、保身に走ったり、他人の悩みに共感できなくても、やむを得ない部分もあるでしょう。
みんな、自分のことだけで精一杯。
そんな状況では、相談した相手もまた、あなたの苦しみを想像する余裕すらないかもしれない…ということです。
④誰にでも当てはまると思われているから
HSPを人に打ち明けると、
「そんなのみんな同じ」
「私だって傷つくことあるけど、気にしないようにがんばっている」
なんて言われることもあります。
このように、誰にでも当てはまるということにしないと、
上司はあなたに対して、なんらかの対応を迫られることになります。
「誰にでも当てはまること。なので対応はしないよ」と言いたいわけですね。
⑤新しい概念が怖いから
人は誰しも、自分が知らなかったこと、初めて聞く言葉などに対し、恐怖心をもっています。
なぜなら、
人間は、これまでと同じような日々を繰り返して生きた方が、安全で確実、かつ生き残るための労力も少なくてすむからです。
そのように、脳は省エネ主義であるために、
ヘタに新しいものを取り入れると、それまでの平穏な生活がかき乱されてしまう不安を、無意識に感じています。
ですので、
HSPなどのような「新しいこと」が、当たり前のように普及してしまうことを、無意識に恐れて避けるよう、私たち人間の遺伝子にインプットされているのです。
たとえば、
高齢者の中には
「インターネットだの、プログラミングだの、はっきり言ってよくわからんし、そんなものは必要ないワイ!」
という人もいます。
でもそれは、適応しないと生きていけなくなるかも…
と、本能的に恐れているからこそ、排除にかかろうとするわけです。
ですので、この理屈でいうと、相談する相手が高齢なほど、
HSPに対し「そんなもん甘えだ」と決めつけ、理解を得られずに終わる可能性が高いでしょう。
⑥上司のさらに上司がそういう価値観だから
これはそのままの意味で、上司のさらに上司が、
「売り上げ伸びない?そんなもん甘えだ!」
なんていう、ガチガチの体育会系タイプだったとします。
そうなると、あなたの上司も、そのまた上司から嫌というほどの圧力を受け、
部下のあなたに対しても、
「HSP?そんなの甘えだろうよ」と、同じような姿勢を要求するしかない状態にあるかもしれません。
⑦少数派だから
HSPは人口の5人に1人といわれています。
職場でも絶対数が少ないので、どうしても立場が弱くなりがちです。
たとえば、
もしもこのHSPの比率が、反対に「5人に4人」だったとすると。
50人の職場なら40人のHSPがいて。
そのみんなで団結し、
「HSPだからなんとかして!しないと明日から仕事こないよ」
なんて訴え始めたらば、上司どころか会社全体が対応せざるを得なくなるでしょう。
もちろん、訴えてきた人たちを甘えだなんて絶対に言わないはずです。
しかし、気持ちが繊細なうえに、数そのものも少ないHSPは、どうしても数の力の前で無力な面があります。
⑧自称HSPが増えているから
これはちょっとオマケ的な要素ですが、
「自称HSP」が増えているという世間の背景も影響していると考えられます。
たとえば、
本当にHSPであるなら、自分がHSPであることを、おいそれと人に打ち明けることなんて、できないことがほとんどです。
しかし、
自称HSPは所詮は「自称」なので、自分の権利を主張するために臆することなく
「自分、HSPっすから」と言えてしまうところがあります。
そのため、
世間に認知されているHSPのほとんどは、この「自称HSP」ということになってしまうわけです。
「自称HSP・・・なんちゅう迷惑な存在っ」
と思うかもしれませんが、
ある意味では、そうしたファッションHSPが増えたことで、HSPの認知度は明らかに上昇しました。
今後、間口が広がれば、
より深い悩みを持ったひとに、光が当たる可能性も増えます。
ですので、
自称HSPという存在の、すべてが良くないということでは決してありません。
わざとらしく、いかにも「自称HSP」っぽく思える人も、あなたの周囲にいるかもしれませんが、
本当のHSPであるあなたにも、少なからずメリットのある存在ですので、あまり振り回されず、放っておくのが得策でしょう。
以上が、HSPが甘えと言われる8つの理由です。
次はいよいよ、HSPは甘えと言われてしまったときの対処について、お話していきます。
HSPは甘えと言われた時の4つの対処法
苦しい想いをしているのに、甘えだなんて…
酷いこというもんですよね。
ですが、HSPがまだまだ世間に深く知られていない以上、「甘い」と言われることは、これからもあるでしょう。
そんな時は、下記の4つの対処を試してください。
- その人に期待しない、距離をおいて離れる
- 自分のことではない、と考える
- 辛さ、要望を具体的に話すようにする
- さらっと言いやすい環境を探す
では、順番にお話ししていきます。
①その人に期待しない、距離をおいて離れる
甘えだと言ってきた相手には、それ以上なにも期待せず、距離をおくようにしてください。
そもそも、相談の内容がHSPであるなしに関わらず、
頭ごなしに否定してくるような人ですので、それ以上どうしようもありません。
とくに、先の8つの理由の中でお話したような、承認欲求や恐怖、価値観などは、人間の根深い部分ですので、
他人がどうにかしようにも、無理があります。
とにもかくにも、
やれやれ…そういう人なんだな。
という程度に考え、期待もせず、可能な限り関わらないこと。
そのために、物理的に距離をおきましょう。
②自分のことではないと考える
先の8つめの理由でもお話ししましたが、
おそらく、本当にHSPであれば、そう簡単に、自分がHSPであることを人に打ち明けることはできないでしょう。
そして、やっとの思いで打ち明けたのに、甘えだなんて言われた日には…落ち込んで立ち直れません。
しかし、例えば
自称HSPと言われる人なら、自分が繊細であることを、あっさりと主張したりもできます。
これにより、
世間に実際に知れ渡るHSPは、「自称HSP」ばかりになってしまいます。
そして自称HSPは、たとえ甘えだと言われても
「自分はこんなに苦しんでるのに、なぜ配慮しないんだ」と言わんばかりの態度を示したりします。
そのように、
ひたすら権利を主張し、配慮ばかり求めるような人間には、場合によってはこの「甘え」という表現もあてはまるかもしれません。
しかしですよ、
これを見ているあなたは、おそらく本当にHSPで苦しんている人です。
なぜなら、
甘えと言われることについて悩み、今こうして、ちゃんと調べたりしているからです。
自称HSPの人のほとんどは、
「なぜ配慮がないんだ」と他人のせいにして、それで終わりじゃないでしょうか。
そうです、甘えとは「自称HSP」に対して言われているのであって、
本当にHSPで苦しんでいるあなたに向けた言葉ではないと言えるのです。
それでも、
人が怒られていると、まるで自分が怒られているように感じてしまうHSPの人もいるくらいです。
完全に自分のことを否定されたと受け取ってしまっても、なんら無理はないでしょう。
なので、心のすみにでも覚えておいてください。
あなたのHSPは、決して甘えではありません。
人々が甘えと言っているのは、
「自称」HSPの人たちのことです。
そういうことにして、いったん受け流しましょう。
(HSPは甘えじゃないからねっ!)
③辛さや要望は具体的に話すようにする
HSPの辛さを人に伝えるときは、
- HSPにより辛いこと、苦しいこと
- やって欲しいこと、自分がしたい対処
これを、できるだけ具体的に伝えましょう。
なぜなら、具体的に言わないと、
「どうして欲しいんだろう?」と相手に考えさせることになるからです。
自分の要望の答えを相手に考えさせてしまうと、
相手にとってあなたは「負担の大きい人」になってしまいます。
これを積み重ねると、いわば「めんどくさい人」と思われてしまい、今後の仕事や組織活動でかなりの不利ですので、
自分自身の要望に関することは、日ごろから具体的に伝えるようにしましょう。
例えばHSPに関する要望なら、
- 音が苦手で、隣の席の人のタイピング音だけでも全く仕事に集中できないので、ノイズキャンセルのヘッドフォンつけて仕事してもいいですか。
- ドアがバターンとしまる音で飛び上がってしまうので、油圧調整でゆっくり閉まるようにしてもらえませんか。
- 人が多いと緊張感が抜けず休まらないので、昼休みは一人で昼食を食べたいです。
などなど、
自分が苦手としていること、苦しいこと。
それに対し、どうして欲しいのか、どうしたいのか。
具体的に伝えて、相手の負担を減らしましょう。
内容は具体的に、態度はちょっと…ひかえめに。
これを心がけてみてください。
④さらっと言いやすい環境を探す
上記の対処をしても、HSPを甘えといってくる人の魔の手から逃れられるとも限りません。
そうした場合には、
やはりHSPであることをサラっといえるような環境を探すことが望ましいです。
部署を移動したり、場合によっては転職も視野に入れた方がよいでしょう。
仕事や職場を選ぶときは以下の記事を参考にしてみてください。
あなたのHSPを「甘え」と言われないためには?
何度かお伝えしていますが、甘えと言われるHSPのほとんどは「自称HSP」の人たちです。
ただ、あなたが自分のことをHSPであると告げた瞬間から、相手は自分の知っている自称のHSP像をあなたにダブらせてきます。
つまり、あなたのことを「甘えた自称HSP」に近い存在だと認識されてしまう可能性が高いのです。
しかし、
場合によってはその限りではありません。
どんな場合かというと、
たとえば、HSPであることの長所が、周囲の人のために活かされている場合です。
HSPとしての長所が、周囲の役に立っていると認識されていれば、多少の短所があっても「まあ仕方ないか」と思われるわけです。
では、どのようにして周囲の役に立つか?
という点については、
また改めて記事にしていきたいと思います。
この記事のまとめ
あなたが誰かにHSPであることを伝えたとき、
甘えだと言われたとしても、あなた自身を甘えだと言っているとは限りません。
相手が頭の中でイメージしている自称HSPに対して甘えと言っていたり、
あるいは、自分自身のことで精いっぱいがゆえに、あなたの苦しみに共感する余裕がないだけだったりもします。
しかし、
相手の誤解や、気持ちの問題は、こちらにはどうすることもできません。
ですので、可能であればサラッと距離をおいてください。
そして、それでもHSPであることを伝えざるを得ない状況になったら、
HSPによる辛さや要望を、相手が考えなくても良いように、できるだけ具体的に伝えてみてください。
相手に考えさせないということは、相手に負担を掛けないということです。
負担を掛けないということは、それだけでも、相手に対する立派な価値の提供になります。
相手の役に立っているということです。
これを、HSPのカミングアウトのみならず、人に物事を伝えるときに常に心掛けると、
相手の助けを得やすくなり、生きていく上で非常に有利になりますので、ぜひ試してみてください。
それでは最後まで見ていただき、
ありがとうございます(*^^*)