あれは高校入学式の数日前。
久しぶりに母校の陸上部の練習に参加したのですが、
なんと、50mを走り終えた直後、激しく腰を痛めてしまったのです。
腰椎分離症という診断だったのですが、
あまりの痛みで
- 2週間以上ほぼ寝たきり
- 寝返りを打てない
- トイレに行くにも悶絶しながら30分かかる
という生活を強いられ、
入学式はもちろん、4月はほとんど学校にいけませんでした。
これもまた、ほんとに致命的でした。
それでも、
ゴールデンウイーク明けにようやく学校へ行けるようになり、
おそるおそる教室のトビラを開けると…
「え、誰あいつ…?」
「何あれ~気持ち悪いんだけど~」
「ざわざわ…」
360度から突き刺さる視線のど真ん中を横切るぼく。
し、視線が痛すぎる…
腰は痛い、視線も痛い…
みぞおちの辺りまで痛くなってきました。
あちこち痛い上に、要領が悪く、とくに新しい人間関係が苦手だったぼくに、
その状況をどうにかしようという気力は、もはや残っていませんでした。
それどころか、腰の痛みで授業の45分間イスに座っていることができず、
トイレに立つふりをして学校から抜け出したりしていました。
やがて、学校に行くふりをしてさぼるようになり、
もともとギリギリのマグレで入れた学校でもあったため、そうそうに勉強についていけなくなりました。
そしてある日、ゲタ箱から靴を取り出そうとすると、
(まじかよ…?)
ないんですよ。靴が…笑
よく見ると、カギのかかったゲタ箱が多かったんです。
それをみて
ああ、パクられたな…と理解しました。
(窃盗とかあるなら、先に言ってよ…)
友達もおらず、ネットワークもないぼくには、当然ながら
窃盗が流行っている、なんて情報もなく。
これは本当にショックでした。
腰は痛いわ、友達いないわ、勉強ついていけないわ、
靴を盗まれるわ。
なんでこんな目に合わなければならないんだろう…
ぼくは一人でガックリとうなだれました。
今考えると、入学した直後というのは、
特にぼくのように要領が悪く人間関係が苦手な生徒にとって、とても重要なときであり、
スタートでコケないよう、万全の態勢で臨むべきだったのです。
しかし、
入学式数日前に、下手こいて大ケガしてしまうあたり、やはり判断が悪かったと言わざるを得ません。
しかし最もショックだったのは、
ぼくのサボリ癖が目立ち、教頭室に呼び出されたときに、教頭先生から言われた一言でした。
ぼくがしぶしぶ、学校をさぼるようになった経緯、
靴を盗まれた経緯を話すと、
「うちにはそんな生徒はいません!」
教頭先生は、そうキッパリ言い放ったのです。
さすがにこれには驚きましたが、当時は、
(これがいわゆる”要領の良い人間”なのか…?)
と、心の中で思うとともに、落胆とも諦めとも言いがたい、なんとも言えない気持ちになり。
結局、ぼくの靴が窃盗にあったことも認めてもらえず。
その後も、何もかもうまくいかず、八方ふさがりとなり、単位も足りず退学することになりました。
その後数か月、自分の行く末がまったく見えず、お先真っ暗で絶望する毎日でした。
それでも、どうにかこうにか気をとりなおし、
翌年、ちがう高校に入学し直しました。
そして、その2つ目の高校を卒業後、そのまま専門課程に進学したのですが、
こちらも3か月で退学
(またかよっ!)
そんなことがありつつも、これが特に自分の要領の悪さが原因だなどとは、
1ミリも考えてはおらず。
(今もあまり思ってません…笑)
こうしてぼくは、何の危機感も持たずに社会へと放たれるのでした。
そう…ここから先、要領が悪いことが原因で、
社会の地獄が待ち構えているとも知らず…
第2章へ続きます↓
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